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連載:フィンランドの景色を通して

2020.11.09

第4回 秋の紅葉、黄葉が愛おしく儚い


はじめまして、フィンランドのヘルシンキに在住しています、星 利昌(ほしとしあき)です。
12年前の2008年、日本からフィンランドに渡り、今までやってきて気付いたこと、感じてきたこと、発見したこと、これからやっていきたいことなどをここに綴っていきたいと思います。このSPINNERを通して、フィンランドで生きる人間が何をどのように普段感じているか知ってもらいたいです。質問もしてください。

第3回から少し時間が空いてしまい、すみませんでした。

第4回は今まさに通過しているフィンランドの秋の紅葉、黄葉について、あまりにも美しいので、書かせて頂きたいと思います。

フィンランドにもはっきりとした四季があります。
個人的に冬は、冬と厳冬と二季分はあるような気がしています。

新緑が出始める春。
清々しく日光に照らされている時間が長い蒼蒼しい夏。
草木の色が変わり、次第に散っていく、儚くて美しい秋。
そして、長い長い最低でも二季くらいに分けられそうな、厳しい冬。

それぞれの季節を一言で表せるはずはありませんでした。

紅葉、黄葉のことをフィンランド語では RUSKA(ルスカ) と言います。
この景色を楽しむための SYYS LOMA(シュースロマ)という休暇日まで国で設けられています。

どの季節も素晴らしい特徴をもっていますが、今現在の秋の木々について。

フィンランドの秋の紅葉、黄葉は美しくも儚いです。
植物が何か語りかけてくるような美しさです。
こんなに美しいのに全て散りてゆきます。
特に秋晴れの日は、太陽に照らされた紅葉や黄葉が、冬が来る前の最後の輝きに見え、もはや黄色ではなく、黄金のような発色をしています。そのような木を探しに出かけるのも、また一つの楽しみとなっています。

落ち葉にも魅力があり、落ちたばかりの葉っぱの発色や、それぞれの枯れ具合の差だったり、枯れきった葉っぱが集まった様子だったりと色や生命のコントラストを見れます。どうしてこのようにきれいに疎らに落ちてくるのだろうと不思議に感じたりもします。

森にいけば去年の落ち葉も見ることができます。

冬が来ると、常緑樹以外の葉っぱは全て散って落ち葉となり、木々は全くの枝だけになります。冬には冬の美しさがありますが、本格的な冬が来る前のこの枝だけの状態に、曇り空の灰色が重なった時は、ただの恐怖です。

そしてこれらは、肌を通して伝わってくる気配、視覚や嗅覚、聴覚、触覚といった感覚をより敏感にさせてくれます。味覚の部分でも、「秋に森で育った木茸を食べている時のトナカイが一番美味しい。」とフィンランドの北極圏にある最北端のNuorgam(ヌオルガム)という地で、トナカイの肉を扱っている人にそう教えてもらいました。その時話が弾み、「また来てね」と言ってもらいましたが、なんせヘルシンキからでも1300キロ以上離れたところなので、「また来ます!」とどうしてもすぐに返答できなかったことを鮮明に覚えています。

この秋の紅葉や黄葉が輝いてから全てが散っていくところまでの一連を見ると、幼少期には全く感じてこなかった、儚さの美しさを感じます。

秋晴れの太陽が出ている日で、紅葉と黄葉に変化していて、ほぼ散っていない状態を見れるのは1年を通して1週間あるかないかです。この黄金に発色した木々は自分の中では、オーロラにも退けをとらないです。

こういった季節の移り変わりを観察することは、陶器制作のインスピレーションの源になっています。

またいつか旅行が自由にできるようになれば、秋のフィンランドも一度訪れてみて下さい。 何か新しい発見があるかもしれません。

PROFILE

  • 陶芸家・料理家
    星利昌

    1985年生まれ、兵庫県出身。ヘルシンキ在住。
    神戸で日本料理の修行後、2008年フィンランド・ヘルシンキに移り、HotelKämp、Chez Dominique、Atelje Finneといった現地のレストランで料理の経験を積む。2011年からRavintola Hoshitoを開業し独立。2016年からもともと興味のあった陶器制作を始める。2018年自身のお店を一旦閉める。現在作品は、ヘルシンキのSamujiやLokalで取り扱っており、Michelin一つ星のRestaurantOraでも使用されている。

  • 空気の日記
  • エマらじお
  • わたし自炊はじめました
  • 交換日記 凪
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  • 妄想ヴォイスシアター
  • アトリエおよばれ
  • TEXTILE JAPAN FOR SPINNER
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